アウトバウンド（あうとばうんど）

アウトバウンドには内から外へ向かうという意味がありますが、業界によって使う意味合いに変化するのが特徴です。たとえば、観光業界におけるアウトバウンドは、日本から海外に旅行することで、日本人海外旅行客のことをアウトバウンドと表現します。コールセンター業界でのアウトバウンドは、企業からユーザーに対して行う、商品販売を目的としたアプローチや、アフターフォローのことをいいます。アウトバウンドコールとも呼ばれ、新規ユーザーの拡大や既存ユーザーの利用継続、市場調査に活用されている戦法です。具体的には新規ユーザーに向けて発信するテレアポや、既存ユーザーに向けて発信するカスタマーサクセスなどがあります。アウトバウンドコールは企業の営業活動に関するものだけではなく、自治体から住民への案内業務や、電話による世論調査も含まれています。

 

Webマーケティング業界でのアウトバウンドとは、企業が不特定多数に向けて宣伝を行うことを指し、アウトバウンドマーケティングと呼ばれます。マーケティングの代表的な手法としては、テレビCM、雑誌の広告、訪問営業、ダイレクトメールなどがあげられます。アウトバウンドマーケティングは、宣伝を受ける側ではどのような情報を受け取るかは決められません。企業側から一方的に情報を提供するというものを指し、プッシュ型のマーケティング手法といえます。

 

アウトバウンドマーケティングを用いるメリットは、ユーザーの意思に関係なく情報を届けられるので、多くの人に商品の存在をアピールでき、企業の認知度を上げられることです。短期間に多くの人へ自社の製品やサービスのアプローチができるので、見込み客を一気に獲得できる可能性があります。デメリットは、不特定多数のユーザーへのアプローチ法なので、商品や企業に興味を持つ層にピンポイントで情報を提供できないことです。興味がないユーザーにアプローチしても、関心を向けてもらうのは難しく、一方的に情報を提供することで、相手にネガティブな印象を与えてしまう可能性もあります。また、広告などの作成費や、テレアポや訪問営業の人件費など、コストがかかることもデメリットとしてあげられます。

 

近年はインターネットやスマートフォンの普及により、誰もが容易に情報を収集できる時代です。それに伴いブログやSNSを介したインバウンドマーケティングが注目されています。インバウンドマーケティングとは情報を集めに来たユーザーに対して、コンテンツを通して情報を提供することで、自ら商品に興味を持ってもらう手法です。そのため、アウトバウンドマーケティングを行う際には、インバウンドマーケティングにはない長所を活かした営業活動を行っていく必要があります。アウトバウンドマーケティングの長所のひとつとしてあげられるのが、即効性の高さです。たとえば、期間限定のキャンペーンなど即時性が求められるものはアウトバウンドマーケティングを使うことで、より早くユーザーに情報提供を行えます。認知度の低い新規事業の立ち上げは、企業側からアプローチすることで、関心を集める必要があります。自然流入に頼らず短期間で成果を得られるのが、アウトバウンドマーケティングの強みです。

 

不特定多数へのアプローチを行うため、質の高い情報提供を行うことで、無関心層を取り込めるのも長所といえます。他社のサービスにはない自社だけの強みを推した適切なアプローチをすることで、ユーザーの興味を引き出せるでしょう。アウトバウンドマーケティングにより入手したアンケート結果や市場調査の情報を把握し、分析することが大切なポイントです。データ化することで、マーケティングの目的に沿ったアプローチを行いやすくなります。2つのマーケティング手法は切り口が異なるので、両者をうまく組み合わせることで成果につなげられます。業界の傾向やユーザーの購買行動に合わせて、商品やサービスを効果的にアピールできるマーケティング手法を選ぶことが重要です。