SNS広告（えすえぬえすこうこく）

SNS広告とは、SNS(Social Networking Service)を利用して出稿する広告です。SNSは世界中に普及しており、インターネット上で社会的コミュニティを構築し交流や情報共有が可能なツールです。国内で利用者がとくに多いSNSは「LINE」「Instagram」「X(旧Twitter)」「Facebook」「TikTok」の5つで、インターネット利用者の約8割が日常的に利用しています。そのためSNS広告を出稿することで商品やサービスの認知度をより高めることができます。SNS広告のメリットは精度の高いターゲティングができることや拡散力があることなどです。またリスティング広告のような検索連動型の広告と異なり、SNS広告は直接検索していないユーザーに対しても、ターゲティング対象であるならば配信されます。そのため潜在顧客層への認知拡大が可能です。加えてSNS広告はタイムライン内に馴染むような表示がされるため、従来のWeb広告に対して不満を抱く人の不快感を和らげる効果も期待できます。

 

SNS広告のターゲティングには、ユーザー登録の際に入力する年齢や性別・職業・地域などのデモグラフィック情報を使用しています。加えて「いいね」「シェア」などの興味関心から行動データを追えるため、顧客の属性をより細分化してターゲティングすることが可能です。またSNS広告では類似オーディエンスによるターゲティング方法があります。SNSでは自分の興味のあるアカウントをフォローし、行動するためフォロワーもよく似た興味関心を持っている場合が多いです。この類似した新しいユーザーをターゲットとしてSNS広告を表示させるとこで、既存の顧客と似た属性を持つ潜在顧客にリーチできます。SNSによって、少しずつ異なるターゲティング方法が存在します。たとえば「X」ではキーワードターゲティングが活用できます。これは指定したキーワードに対して利用者が検索やツイートなどの行動をした場合、SNS広告のターゲティング対象になる仕組みです。逆に除外キーワードを設定するとデモグラフィック情報では基準を満たしていても、除外キーワードに反応したユーザーはターゲティング対象外となります。また「LINE」は他のSNSと比較して圧倒的にユーザー数が多く、「LINE」のみを利用するユーザーへのSNS広告出稿ができる点が特徴です。

 

SNS広告においてターゲティングを行う際に大切なポイントは、目標を明確に定めてからターゲティング設定を行うことです。それぞれのSNSは利用者の年代や目的によって使い分けられているため、適切なプラットフォームでSNS広告を出稿する必要があります。SNS広告の効果測定にはインプレッション数やクリック数、コンバージョン数、エンゲージメント数などの指標が用いられます。これらの指標からSNS広告が成果を上げているか評価し、適宜ターゲティング設定を見直していくことが重要です。またSNS広告で詳細なターゲティング設定を行うことは、広告費用を抑えることにもつながります。一般的にSNS広告はインプレッション数やクリック数によって費用が発生する仕組みです。狙ったユーザー以外にSNS広告が表示されてしまうとその分だけ余計な費用が発生することになります。そのためターゲティングが的確であるほど費用対効果が高まります。

 

SNS広告を出稿する場合に注意したいことは、SNSの特性上悪評も拡散されやすいという点です。出稿した広告内に不適切な表現があった場合すぐに多くのユーザーから批判され、会社のイメージを悪くしてしまう結果になりかねません。SNS広告はタイムライン上に馴染みすぎてもいけませんが、過度に奇抜な内容でユーザーに誤解を与えることは避けるべきです。そのため、コピーライティングやデザインには細心の注意を払う必要があります。またSNS広告は高齢者に対するマーケティング手法としては十分ではありません。年齢が上がるほどインターネット利用率が低下する傾向にあるため、高齢者をターゲティング対象とする場合にはほかの媒体による宣伝方法も検討する必要があります。

 

SNS広告の出稿は企業アカウントを作成していなくても可能ですが、アカウント運用と併用することでさらなる顧客獲得へつながる可能性があります。SNS広告はアカウント運用と比較してターゲティングの精度が優れていますが、一方的な配信になりがちです。そこでアカウント運用を行うと、さまざまなユーザーとの相互コミュニケーションが可能となり、企業に対する親近感や信頼感が高まります。結果としてリピーターの獲得やほかのユーザーへの推薦などの効果が期待できます。

 

SNSは多くの人に日常的に利用され、SNS広告の市場規模は年々増加しています。訴求したい商品やサービスのターゲティングを適切に実施することや、動画広告・インフルエンサー起用といったトレンドを積極的に活用していくことがSNS広告の今後の戦略として求められます。