表記ゆれ(ひょうきゆれ)
表記ゆれとは、原稿のなかで同じ言葉でも違う言い回しをしたり、正しい表記と間違った表記が混ざってしまったりすることを指します。たとえば、犬に関するコンテンツで、犬のことを「犬」「イヌ」「いぬ」というように漢字とカタカナ・ひらがなを混同して示すことをいいます。ほかにも、「見積」「見積り」「見積もり」と送り仮名の有無でばらつきがあったり、「コンピュータ」「コンピューター」などカタカナ表記で語尾を伸ばすかどうかの違いがあったりすることも表記ゆれになります。また、「インスタ」「Instagram」などと省略する言い回しで正式な表記をするか短縮で表記するかという違いだったり、「Google」「グーグル」など固有名詞をロゴ通りにするか音で記載するかなど、表記ゆれにはさまざまな種類があります。
表記ゆれがあると、ユーザーにわかりにくい文章だと思わせてしまう可能性が高くなります。文章の意味が通じなくなることで、その文章を閲覧したユーザーに誤解を与えてしまいます。とくに、コンテンツ制作に複数の人物が関わっている場合は人によって言葉の選び方も変わるため、表記ゆれが起こりやすくなると考えられます。表記ゆれを防ぐための表記ルールがないことや、あったとしても文章を作成する際にそれらを参照していないことも表記ゆれが起きる大きな原因となります。SEOの観点から見ても表記ゆれがあることはデメリットとなります。Googleは、特定のコンテンツについてその内容を機械的に判断したうえで、最も適した検索キーワードを検索エンジンに登録します。その際に参照されるものが、登録した特定のキーワードがコンテンツ内にどれだけ含まれているかということです。もしもコンテンツ内に表記ゆれが生じてしまっていた場合、本来ひとつに絞り切ることができていたはずのキーワードが複数に分散してしまうと同時に、キーワードへの評価も分散してしまうことになります。そのため、検索キーワードの違いから検索順位に違いが生じる可能性があり、SEO対策にとってはネガティブな影響といえます。コンテンツにとって重要なキーワードになる単語に対しては、表記ゆれが起こらないようとくに細心の注意を払う必要があります。
表記ゆれによるマイナスSEO評価を防止するためには、検索キーワードをしっかりと洗い出すことが必要です。コンテンツを作成する前に、SEOの観点から見てどのような表記ゆれの候補があり、そのなかでどのキーワードをメインに扱うのかを事前に検討し、検索キーワードを十分に選定しておきます。実際に表記ゆれがあった単語を検索してみて、SEOとして検索結果が変わるかどうかを確かめてみることもリサーチ方法のひとつです。そのうえで明確な表記ルールを作成し、コンテンツ制作に関わるすべての人間で共有しておくことがSEO対策にとって重要といえます。また、表記ゆれに該当するキーワードの月間検索数を調査し、最もボリュームの高いものを優先的に使用することも大切です。表記ゆれキーワードを検索した際に検索結果が大きく変わらないものに関しては、とくにSEOの観点から見た表記ゆれの対策を考慮する必要はありません。もちろん、修正できるのであれば修正した方が統一感も出てよりよいものになることに間違いありませんが、それらにかかる手間やコストを考えると、新しいよりよいコンテンツを作り上げる方が、SEO対策として良い結果を生み出すことにつながります。SEOにとって重要なキーワードについては表記ゆれを修正するなど、優先順位をつけて対応を検討することが望ましいといえます。
SEOとしては、ユーザーに誤解を与えてしまう可能性があるため、評価に影響する恐れが考えられます。閲覧するユーザー目線に合わせ、検索結果の上位に表示されるWebサイトのコンテンツをリサーチし、どのような表記であれば誤解なく伝えられるのかを検討していくことが重要です。常にユーザーの目線に立ち、ユーザーが何を求めているのかを意識しながら表記ゆれの対策をしていくことが、SEOのパフォーマンスとユーザーの満足度アップにつながります。表記ゆれによってユーザーの体験に与える影響が大きい場合は、コストをかけても修正することがSEOにとっては必要といえます。表記ゆれを防ぐためには、目視でのチェックを行うほか、校正ツールを使用してチェックしていく方法があります。目視チェックでは、コンテンツを作成した本人では気付かない点もあるため、第三者が確認することが大切です。校正ツールには無料のものと有料のものがあります。無料のツールは「ENNO(エンノ)」や「Tomarigi(トマリギ)」「プレスリリース校正ツール」などがあります。有料のツールはMicrosoft Wordの校閲機能や、「PRUV(プルーフ)」「ATOK(エイトック)クラウド文章校正サービス」、「文賢」などがあります。ツールを使用するとチェック作業の短縮はできますが、ツールによって精度が異なるため、目視のチェックと合わせて使用することで、より効率的に表記ゆれのチェックを行いSEO対策に役立てることができます。表記ゆれをなくすことが直接SEO評価に関わるわけではありません。しかし、表記ゆれをなくしてユーザーにとって読みやすい文章にすることで、コンテンツの品質向上や離脱防止となり、結果的にSEO評価につながります。