LINE広告(らいんこうこく)
LINE広告とは、LINEアプリ内や関連サービスで配信される広告です。LINEは2024年現在、国内で最も利用者数の多いSNSで、ユーザーのうち86%が日常的に利用しています。またLINEは個人間で連絡を取るだけではなく、行政や地方自治体のサービスが提供されていることもあり、若者からシニアまで幅広い世代が利用していることが特徴です。そのためLINE広告を配信することで、ほかのSNSではリーチできない顧客層へターゲティングを行うことが可能となります。
LINE広告は、LINEアプリ内のトークリストやLINE NEWS、LINE VOOMといったさまざまなサービスで配信されます。また、LINE広告ネットワークと呼ばれるアドネットワークを形成しており、11,000以上の外部アプリへの掲載ができます。各配信面によって利用者の多いユーザー層に特徴があり、LINE広告を配信する場合には宣伝する商品・サービスに合った配信面やフォーマットを考える必要があります。たとえば、LINE VOOMはショート動画が多く投稿されているため、広告も動画で作成することでユーザーに受け入れられやすくなります。さらに配信面ごとにターゲティングの設定を変更したり、広告効果の低い配信先を除外したりすることも可能です。
LINE広告のターゲティング方法は大きく分けて4種類あります。オーディエンスセグメント配信は、ユーザーが登録した年代や性別、地域などのデモグラフィック情報と、行動履歴や趣味・関心などの情報からターゲティングする方法です。カテゴリごとに詳細なターゲティング設定ができるため、たとえば関東地方に在住する20~40代の子どもありの女性をLINE広告の配信対象とすることが可能です。オーディエンス配信は、購入履歴などの行動データをもとにターゲティングを行う方法です。オーディエンスとはユーザーのグループを意味しており、高いコンバージョン率が見込まれるユーザーに広告を効率よく配信することができます。また過去にWebサイトへの訪問をしたことがあるユーザーに対する、リターゲティング広告も実施可能です。類似配信は、もとになるオーディエンスと似ているユーザーを探してターゲティングする方法です。非常に高い類似性を持つユーザーへLINE広告を配信すると、コンバージョン率の増加が見込めますが、リーチできる人数が少なくなります。そのため少し類似度を下げてより多くのユーザーへ広告を配信するといった選択肢もあります。類似配信では目的の商品・サービスに対する関心が高いと推測されるユーザーへLINE広告を配信するため、潜在顧客層への効率的なアプローチ方法となります。自動ターゲティングは、地域・性別・年齢・OSのデータをもとに、クリックやコンバージョンが期待できるユーザーを探し、自動でターゲティングする方法です。簡易的な初期設定と、機械学習によってターゲティングが随時最適化されるため、ターゲティングにかかる労力が削減されます。また広告運用に不慣れな方でも効果的なキャンペーンの実施が可能です。LINE広告ではこれらのターゲティング方法を組み合わせて、目的に合った運用を行っていきます。
配信しているLINE広告の効果は、LINE Tagと呼ばれるコードをWebサイトに設置することで測定できます。LINE Tagでコンバージョンの計測やユーザー行動の追跡を行い、その測定結果からリターゲティング用オーディエンスを作成して、新たにLINE広告を配信することも可能です。また複数のLINE広告を用意しておいて、どのクリエイティブが最も効果的であったのかを調べる場合でも、LINE Tagが役に立ちます。さらにLINE広告の一種であるLINE Dynamic Adsは、LINE Tagで取得したデータをもとにして、ユーザーごとにパーソナライズされた内容の広告配信を行います。たとえば、ユーザーがECサイトで閲覧した商品の情報に基づいて、興味を持ちそうな別の商品をLINE広告として表示します。そのため、同じキャンペーンであっても、ユーザーによって異なる商品がLINE広告内に表示されることがあります。
LINE広告のメリットは、広範囲のユーザーへリーチできることや、細かなターゲティングが設定できることに加えて、柔軟な予算設定が可能な点もあげられます。LINE広告は、配信枠を入札して表示させる運用型広告で、決められた料金や初期費用がなく、自分で予算を決めて広告を出稿することができます。費用の発生はクリック課金、インプレッション課金、友だち追加ごとに課金の3種類の方式があり、目的に合った課金方式を選択することが大切です。またLINE広告をLINE公式アカウントと連携させると、友だちになったユーザーに対して直接広告を配信したり、友だちに似た別のユーザーをターゲティングしたりすることが可能になります。LINE広告で獲得した顧客とのコミュニケーションを、公式アカウントを通じて行うことは、自社ブランドに対する愛着や信頼を高めることにもつながります。
一方でLINE広告の課題点は、ほかのSNSと比較すると拡散力が低いことがあげられます。そのため口コミの活用といった、広告費用をかけないマーケティング戦略には不向きといえます。出稿の審査が厳しい傾向にあるため、宣伝したい商品・サービスによっては広告が配信できない場合があります。LINE広告は国内の幅広い年代の方へ向けた配信が可能であり、多くのユーザーが日常的に目にする可能性がある媒体です。今後もLINE広告は、マーケティング戦略の重要な部分を担っていくと予測できます。