KGI(けーじーあい)
KGIとはKey Goal Indicator(キー ゴール インジケーター)の頭文字をとった略語で、企業や部門のビジネスの最終目標を定量的に示したものです。日本語では「重要目標達成指標」あるいは「経営目標達成指標」と訳されます。「何を」「いつまでに」「どれくらい達成するのか」という企業にとってのゴールにフォーカスした指標となり、目標達成の度合いを数値で表したものとなります。一般的には「売上高」「利益率」「成約数」などがKGIに該当します。企業の規模などにより違いはありますが、KGIは全社的な大きな最終目標なので、ひとつもしくは多くても3つくらいまでに設定されていることが多いです。数値の目標なので、あいまいな設定はしません。
KGIと密接に関係しているのがKPI(重要業績評価指標)です。KGIとKPIは相互に関連性をもっています。KGIは企業の最終目標であり、KPIはKGIを達成するために必要な中間目標です。KGIとKPIを組み合わせることで、企業が目指す方向性と目標を達成するために必要な具体的な指標を明確にすることができます。マーケティング活動などの評価を細かいところまで効果的に行うことが可能となります。Webマーケティング業界では、KGIとKPIを活用してマーケティングをすることが多く、マーケティング戦略においても重要な指標となります。Webマーケティングでは、ユーザーのあらゆる行動がデータで把握できること、Webマーケティングが売上や利益と直結している部分が多いため、KGIとKPIの設定がしやすいことがあげられます。一般的には、マーケティング戦略のKGIを「売上」とし、KPIを「新規顧客獲得数」「見込み客数」などと設定します。たとえば、マーケティング戦略におけるECサイトのKGIが「6ヶ月後の売上高20%アップ」と設定されている場合、KPIとして「3ヶ月後までに見込み客数10%アップ」「3ヶ月後までに既存顧客単価10%アップ」など設定できます。
KGIの重要性は、誰が見てもわかるように「いつまでに何をやるのか」を数値として「可視化」することにあるといえます。なぜ目標を数値に変えるのかというと、目標と現在地の距離を正確に把握し管理するためです。マーケティングに限らずビジネスでは明確な目標や方針を立てることが大前提です。一方ありがちなのは、最終的な売上の目標だけを掲げても組織やプロジェクトに与えられるミッションは漠然としていることが多く、具体的なマーケティング活動や施策に落とし込むことやミッションが達成できたかどうかの判断ができないことがあります。KGIは、数値目標として明確化することで従業員にも自社の戦略を示すことができます。
KGIは企業の経営理念やビジョンに基づいて設定されます。KGIを決める前に「組織全体としてのゴールはいったいどこなのか」を決めなければいけません。これは企業の方針によって変わりますが、企業の構造全体に鑑みて、どれくらいの水準であればいいのかを考えます。KGIは最終的な数値目標なので、基となる定性的な目的やゴールを設定する必要があります。企業の経営方針やマーケティング戦略などを明確にすることでKGIの方向性を決めます。その後「売上高」「利益率」「成約数」といった数を具体的に定めますが、目標が達成できたかを数値で評価するためにKGIに落とし込みます。たとえば、企業のマーケティング戦略が「売上拡大」であれば、KGIとしては「売上高10%アップ」などが考えられます。KGIは、企業の経営指針やマーケティング戦略などと整合性があること、数値として測定できなければ目標達成の度合いを評価することができないため、経営指針やマーケティング戦略などを踏まえて定量的に測定できることに注意が必要です。またKGIは、達成可能な目標でなければモチベーションの低下や目標達成の達成感が得られないなどの問題が発生する可能性があるため、達成可能な目標であることにも注意して設定することが大切です。
たとえば、マーケティング戦略において「顧客満足度の向上」という目標を掲げたとします。「売上高」や「成約数」といった数値ではなく、「顧客満足度」という一見数値では示しにくいものを測ろうとした時に、どう設定するかが企業としての腕の見せどころといえます。仮に「顧客満足度が向上した」場合、企業が管理している数値の中でどの数値が変化するのかを見極めて設定する必要があります。ある数値が「上がったら」もしくは「下がったら」、「顧客満足度が向上した」という因果関係にある数値を見つけることがKGIの設定では求められます。たとえば「売上が上がったから顧客満足度が向上した」という単純な判断ではなく、売上が上がるのと顧客満足度が向上することが、必ずしも比例するかどうかは考える必要があります。とくに、経営層の主観だけでKGIを設定しても、結果的に大事なのは「売上」なのか「顧客満足度」なのか判断できなくなってしまい現場が混乱することもあります。これがKGIの設定が重要だといわれることの本質といえます。